ドナルド・トランプ米大統領は30日、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長として、元FRB理事のケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)氏を正式に指名した。パウエル現議長の任期が5月に満了するのを前に、数週間にわたる憶測に終止符が打たれた形だ。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「ケビンは、我々の経済を再び偉大にするための卓越した経験と知性を持っている。彼は歴史に名を残す偉大な議長の一人になると確信している」とコメント。発表直前、予測市場ではウォーシュ氏の指名確率が80%を超えるなど、市場は早くからこの「ビットコイン肯定派」の登場を織り込み始めていた。

1. 異例の経歴:35歳でのFRB理事就任から金融界の重鎮へ

ケビン・ウォーシュ氏(55)は、金融政策のバックグラウンドとウォール街の実務経験を併せ持つ稀有な存在だ。2006年、当時35歳の若さでブッシュ政権下のFRB理事に史上最年少で就任。リーマンショックを含む金融危機の真っ只中で、当局と金融機関の橋渡し役として手腕を振るった。

FRB退任後は、スタンフォード大学フーバー研究所の特別フェローやビジネススクールの講師を務める傍ら、著名投資家スタンレー・ドラッケンミラー氏率いるデュケイン・ファミリー・オフィスのパートナーとして活動。理論と実践の両面に精通した「金融界のサラブレッド」としての地位を確立している。

2. ビットコインは「新世代の金」──政策の監視役としての役割

仮想通貨業界がウォーシュ氏の指名を熱狂的に歓迎している最大の理由は、同氏のビットコインに対する先進的な見解にある。

ウォーシュ氏は過去のインタビューや講演において、ビットコインを**「新世代の金(New Generation of Gold)」と表現してきた。特に注目すべきは、ビットコインを単なる投機対象ではなく、「政策立案者が正しい軌道にいるかを測定するための監視役(Policy Watchdog)」**として位置づけている点だ。

  • 資産のデジタル化: 「若い投資家にとって、ビットコインは現代における金と同等の役割を果たしており、ポートフォリオにおける代替的な価値保存手段として機能している」と分析。
  • 規律の提供: 中央銀行による過剰な通貨供給に対するヘッジとして、ビットコインが「外部的な規律」を金融システムにもたらす可能性を認めている。

パウエル議長がビットコインを「決済手段としては機能しておらず、投機的な資産」と一貫して冷ややかに評してきたのに対し、ウォーシュ氏はビットコインを金融システムを補完・監視する「現代的指標」として、より寛容かつ戦略的に捉えていることが伺える。

3. FRBの独立性と「パウエル・プローブ」の影

ウォーシュ氏の就任には、政治的な緊張もつきまとう。トランプ政権は現在、パウエル議長が進めたFRB本部の改修工事などを巡り、司法省(DOJ)を通じた調査(通称:パウエル・プローブ)を行うなど、中央銀行への圧力を強めている。

ウォーシュ氏は「FRBの独立性は不可欠である」と述べつつも、近年のFRBが気候変動や多様性といった本来のマンデート(物価の安定と最大雇用)以外の領域に踏み込みすぎていると批判しており、より「限定的で規律あるFRB」への改革を進めるものと見られている。

4. 今後の焦点:上院承認と市場への影響

ウォーシュ氏が正式に第17代FRB議長として就任するには、上院での承認が必要となる。一部の議員からは、トランプ大統領による中央銀行への介入を懸念し、承認を保留する動きも見られるが、金融界の評価は高く、承認される可能性が高い。

もしウォーシュ議長が誕生すれば、米国の金融政策に「デジタル資産への深い理解」が持ち込まれることになる。これは、ビットコインの戦略的予備資産(Strategic Bitcoin Reserve)化の議論や、ステーブルコインの法整備など、Web3エコシステム全体の発展を後押しする巨大な追い風となるだろう。

出典

https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/115983891481988557