2026年2月、IT業界を根底から揺るがす「事件」が起きた。

Anthropic社が自社のAIエージェント開発環境「Claude Code」において、「COBOL(コボル)で構築されたレガシーシステムの近代化(モダナイゼーション)を完全自動化できる」と発表したのだ。

この発表の直後、長年にわたりレガシーシステムの保守・刷新を収益の柱としてきた米IBMの株価は13%超もの急落を記録した。1日の下落幅としては約25年ぶりの歴史的暴落である。

この出来事は、単なる「便利なAIツールが登場した」という枠には収まらない。旧世代型の言語(COBOL等)やレガシーな開発体制が完全に淘汰され、新世代のAIエージェント(Claude Code等)がソフトウェア開発の主導権を握る時代の幕開けを意味している。

本記事では、この「Claude Codeショック」が意味するものと、これからの世の中がどう変化していくのかを紐解いていく。

1. 「理解するコスト」が「書き直すコスト」を下回った歴史的瞬間

1950年代に誕生したCOBOLは、現在でも米国におけるATM取引の約95%を支えるなど、金融・行政の基幹システムに深く根を下ろしている。

しかし、何十年にもわたって継ぎ接ぎされてきたコードは、もはや人間のエンジニアには全貌を把握できない巨大な「ブラックボックス(技術的負債)」と化していた。

これまで企業がCOBOLの刷新に踏み切れなかった理由は極めてシンプルだ。

「複雑に絡み合った旧コードを読み解き、ビジネスロジックを理解するコストが、新しい言語でシステムを書き直すコストを圧倒的に上回っていたから」である。

しかし、Claude Codeはこの前提を破壊した。

数百万行に及ぶコードベース全体を瞬時に読み込み、隠されたビジネスルールを抽出。Mermaid図で依存関係を可視化し、Javaなどのモダンな言語への移行計画を自律的に策定・実行する。

さらに「新旧のシステムでビット単位の不整合がないか」の厳密なテストまでをもAIがこなすようになったのだ。

2. 「技術を知っている」だけの中間層の淘汰

この技術的ブレイクスルーにより、これまで莫大な利益を上げてきた「旧来型のビジネスモデル」は崩壊の危機に瀕している。

特定の古い言語仕様に詳しいことや、レガシーシステムのお守りをすることに価値を置いていたITベンダーやSIer、コンサルタントといった「中間層」の存在意義は極めて薄くなる。

なぜなら、彼らが数十人月かけて行っていた現状分析と移行計画の策定を、Claude Codeは数分から数時間で、しかも人間より高い精度でやってのけるからだ。

「技術を翻訳してあげる」ことでマージンを抜いていた構造は終焉を迎え、AIという超優秀なアシスタントに直接仕事を依頼する形へと急速にシフトしていくだろう。

3. ドメイン知識を持つ「現場の人間」が覇権を握る時代へ

では、Claude Codeのような新世代ツールの台頭により、世の中はどう変わるのか。

最大のインパクトは、「コードを書く能力」のコモディティ化と、「現場のドメイン知識」の価値の相対的向上である。

これからの時代、重要なのは「どうやってプログラムを書くか(How)」ではなく、「現場の課題は何か、何を解決すべきか(What)」を知ることだ。

業務フローを熟知している現場の担当者自身がClaude Codeと対話し、「こんな仕様のシステムが必要だ」と指示を出す。AIがコードを生成し、セキュリティの脆弱性をチェックし、テストまで完了させる。

つまり、数年〜十年かけてプログラミング言語を習得しなくても、誰もが自らの手でシステムを構築・運用できる「全員ビルダーの時代」が到来するのだ。

4. まとめ:解放される社会インフラ

旧世代型のシステム(COBOLなど)や旧来のITベンダーへの過度な依存が淘汰されることは、決して悲観すべき未来ではない。

むしろ、長年「レガシーの呪縛」によって停滞していた企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に解放されることを意味する。

莫大な維持費が奪っていた予算は新しいイノベーションへの投資に回り、行政や金融のサービスはより柔軟でモダンなものへと生まれ変わる。

Claude Codeがもたらした衝撃は、単なるプログラマの仕事の奪い合いではなく、社会インフラ全体がAIの力で次世代へと「脱皮」するための痛みを伴うが、これは必然的なことといえるだろう。

出典

https://twitter.com/bulltheoryio/status/2026017617346220041?s=46