NVIDIAの年次イベント「GTC 2026」で、ディズニーの人気キャラクター「オラフ」のロボット版がサプライズ登場した。ロボスタによれば、現地時間3月16日のジェンスン・フアンCEO基調講演の終盤に、ディズニーリサーチが開発したAIロボット版オラフがステージへ現れ、会場の注目を集めた。NVIDIA公式も、オラフが基調講演に登場し、同社のPhysical AIスタック、Newton物理エンジン、Omniverseベースのシミュレーションによって動いていたと説明している。

基調講演の終盤で“歩いて会話するオラフ”を披露

ロボスタの記事では、オラフはステージ上を歩きながらフアンCEOと自然なやり取りを見せたとされる。フアンCEOは基調講演でPhysical AIやヒューマノイド分野の広がりを説明した後、オラフを紹介した。NVIDIA公式ブログでも、オラフがデジタルスクリーンからそのまま現実に出てきたかのような演出で登場し、来場者に強い印象を与えたと伝えている。

「おなかにJetson」「Omniverseで歩き方を学んだ」が象徴したもの

ロボスタによれば、オラフはフアンCEOとのやり取りの中で、自身の“おなかの中”にJetsonとOmniverseがあるという趣旨の発言をした。これに対しフアンCEOは、Omniverse上で歩行を学び、それを現実へ接続しているという構図を示した。NVIDIA公式ブログでも、フアンCEOがオラフに対して「Jetsonを与えた」「Omniverseの中で歩き方を学んだ」という趣旨の説明をしており、このデモがシミュレーションと現実動作の接続を示すものだったことが分かる。

物理再現の鍵はNewton、開発にはDisneyとDeepMindの連携も

ロボスタは、フアンCEOがこのデモについてNewtonソルバーに言及し、現実世界の重力、摩擦、接触といった物理法則を計算上で再現する重要性を説明したと報じている。NVIDIA Newsroomでも、DisneyがNVIDIA Warpフレームワーク上に構築したGPU加速物理シミュレータ「Kamino」がNewtonに統合され、オラフやBDXドロイド向けのロボットポリシー訓練に使われていると説明している。あわせて、オラフは熱管理や衝突音の低減も学習しているという。

従来のアニマトロニクスとは異なる「自律的に振る舞うキャラクター」

ロボスタは、今回のオラフの本質を、あらかじめ決められた動作を再生する従来型アニマトロニクスとは異なり、AIと物理シミュレーションによって自律的に振る舞うキャラクターである点にあると整理している。NVIDIA側の説明でも、今回の講演で示された内容は、事前レンダリングではなく、シミュレーションされたPhysical AIが実世界のロボットやキャラクターへ接続されるという考え方の具体例として扱われている。

エンタメ用途のPhysical AIを強く印象づけた

NVIDIAは今回のGTCで、工場、物流、医療、ヒューマノイドにまたがるPhysical AI戦略を打ち出している。その中でオラフの登場は、産業用途だけでなく、エンターテインメント分野でもPhysical AIが現実の体験価値を大きく変えうることを示す象徴的な場面となった。NVIDIA Newsroomでは、オラフがディズニーパリでのデビューを控えた存在であることにも触れており、講演のデモが単発の演出ではなく、実運用を見据えた技術実証の延長線上にあることがうかがえる。

今回の発表が意味するもの

今回のオラフの登場は、Physical AIが産業ロボットやヒューマノイドだけでなく、“愛されるキャラクター”にも広がり始めたことを示した。Jetsonによるオンボード計算、Omniverseによるシミュレーション、Newtonによる物理再現が一体化することで、キャラクターが現実世界でより自然に動き、観客と関わる時代が近づいている。GTC 2026でのオラフは、その未来をもっとも分かりやすく可視化したデモの一つだったといえる。

参考

https://robotstart.info/article/img/2026/03/17/381696/101988.html