米ホワイトハウスは3月25日、トランプ大統領が大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の初期メンバーを指名したと発表した。ホワイトハウスによれば、PCASTは大統領令に基づいて設置された組織で、米国の科学技術分野における競争力強化に向けて、大統領へ助言と提言を行う役割を担う。

共同議長はデービッド・サックス氏とマイケル・クラツィオス氏

今回の発表では、PCASTの共同議長をデービッド・サックス氏とマイケル・クラツィオス氏が務めると明記された。あわせて、初期メンバーとして、マーク・アンドリーセン氏、セルゲイ・ブリン氏、サフラ・キャッツ氏、マイケル・デル氏、ジェイコブ・デウィット氏、フレッド・アーサム氏、ラリー・エリソン氏、デービッド・フリードバーグ氏、ジェンスン・フアン氏、ジョン・マルティニス氏、ボブ・マンガード氏、リサ・スー氏、マーク・ザッカーバーグ氏の名前が公表された。

テック業界の大物が並ぶ顔ぶれとなった

公開された名簿を見ると、半導体、ソフトウェア、クラウド、SNS、スタートアップ投資など、米国の主要テクノロジー分野を代表する人物が並んだ構成である。NVIDIAのジェンスン・フアン氏、AMDのリサ・スー氏、Oracleのラリー・エリソン氏、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏、Google共同創業者のセルゲイ・ブリン氏、Andreessen Horowitz共同創業者のマーク・アンドリーセン氏らが含まれており、政権が産業界の実務家色を強く打ち出した布陣といえる。

焦点は「新興技術が労働市場に与える影響」

ホワイトハウスは、トランプ政権下のPCASTが重点的に扱うテーマとして、「新興技術が米国の労働者にもたらす機会と課題」、そして「すべての米国民が“Golden Age of Innovation”で繁栄できるようにすること」を挙げた。つまり、AIや先端計算、半導体、バイオ、製造高度化などの技術競争そのものだけでなく、それが雇用や経済参加にどう結び付くかが主要論点になる見通しである。

PCASTは最大24人規模、追加指名も予定

今回の発表はあくまで初期メンバーの公表であり、ホワイトハウスはPCASTが最大24人で構成され得ると説明している。今後さらに追加メンバーを指名する予定で、あわせて初会合に関する情報も近く公表するとしている。

歴代政権でも設置されてきた大統領直属の科学技術助言機関

ホワイトハウスは、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領が科学諮問委員会を設けて以来、歴代大統領がそれぞれ科学者、技術者、産業界リーダーからなる助言委員会を設けてきたと説明している。今回のPCASTもその流れを引き継ぐ形だが、顔ぶれを見る限り、学術界よりもテクノロジー企業や投資家の比重が相対的に高い点が特徴といえそうである。

今回の人事が意味するもの

今回の人選は、トランプ政権が科学技術政策を、研究機関中心ではなく、AI・半導体・デジタル産業を率いる企業経営者やテック投資家との連携を軸に進めようとしていることを示している。特に、AI、計算基盤、プラットフォーム、ベンチャー投資の中核人物が目立つことから、今後のPCASTは、基礎研究の助言機関というより、産業競争力と国家戦略を直結させる色彩を強める可能性がある。もっとも、現時点で公表されているのは人選と大まかなミッションまでであり、個別政策がどこまで具体化するかは今後の会合と提言内容を見極める必要がある。

出典

https://www.whitehouse.gov/releases/2026/03/president-trump-announces-appointments-to-presidents-council-of-advisors-on-science-and-technology