米ステーブルコイン発行大手のCircle(サークル)は17日、AIロボティクス企業OpenMindと共同で、ロボット犬「Bits」が人間に頼ることなく、自律的に暗号資産USDCを使って支払いを行うデモ動画を公開した。

この動画は、AIやロボットが独自の「財布」を持ち、経済活動の主体となる「マシン・エコノミー(機械経済)」の到来を告げる実証実験として、業界内外で大きな注目を集めている。

1. 「お手」ではなく「支払い」を自律実行

公開された動画では、四足歩行のロボット犬「Bits」がバッテリー残量の低下を検知し、自ら充電ステーションへ移動。充電ポートに接続すると同時に、ブロックチェーン上でUSDCによる利用料の支払いを瞬時に完了させる様子が収められている。

これまでのロボットは物理的な作業はできても、サービス利用契約や決済には人間の承認(クレジットカード情報の入力など)が必要だった。しかし今回のデモでは、ロボット自身が秘密鍵を管理し、スマートコントラクトを通じて決済を実行することで、完全な自律稼働を実現している。

2. インフラはCoinbase主導の「x402」規格

CoinPostの報道によると、このシステムの裏側には、Coinbaseが主導して開発したオープンな決済プロトコル「x402」が採用されている。

  • HTTPリクエストに決済を統合: 「x402」はウェブの標準的な通信手順に決済機能を組み込むことで、AIエージェントやロボットが「少額決済(マイクロペイメント)」を効率的に行えるようにする規格だ。
  • 各社の採用: OpenMindだけでなく、決済大手StripeもBaseチェーン上で同規格を統合したシステムのプレビュー版を公開しており、AI決済の業界標準となりつつある。

OpenMindのジャン・リップハルトCEOは、「大規模言語モデル(LLM)は文章生成だけでなく、物理的な機械を制御する領域にも応用できる」とし、USDCとx402の統合によってロボットが既存の社会インフラとスムーズに連携できるようになると説明している。

3. アレールCEO「数十億のAIが財布を持つ」

Circleのジェレミー・アレールCEOは先月のダボス会議にて、「今後5年間で数十億規模のAIエージェントが決済システムを必要とする」と予測。銀行口座を持てないAIにとって、国境を越えて24時間取引可能なステーブルコイン(USDC)が唯一の現実的な決済手段になると指摘していた。

また、イーサリアムのエコシステムでも、AIエージェントの身元証明を行う新規格「ERC-8004」の導入が進んでいる。 「ロボットが自分で電気代を稼ぎ、支払う」――そんなSFのような世界が、ブロックチェーン技術によって現実のものとなり始めている。

出典

https://twitter.com/circle/status/2023759340079927315