ステーブルコインを含む暗号資産の包括的な規制枠組みを定める「クラリティ法案(The Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act)」の成立に向けた機運が高まる中、伝統的な銀行業界と暗号資産(仮想通貨)企業の間の溝が深まっている。

業界特化型メディア「Crypto in America」などが報じたところによると、ホワイトハウスが主導した両業界の幹部を集めた会合でも、法案の鍵となる「利回り(Yield)の分配」と「連邦準備制度(Fed)への口座アクセス」について、依然として深い対立が続いている模様だ。

1. 争点は「利回り」と「スキニー・アカウント」

対立の核心にあるのは、非銀行(ノンバンク)のステーブルコイン発行体が、連邦準備制度のマスターアカウント(当座預金口座)へ直接アクセスする権利――通称「スキニー・アカウント(Skinny Accounts)」を認めるか否かという点だ。

  • 銀行側の主張: ノンバンクの発行体が連銀に資金を預けて安全性を確保しつつ、その金利収入をユーザーに「利回り」として還元すれば、銀行預金から資金が流出し、金融システムが不安定化する(預金流出のリスク)。これは実質的な「ナローバンク(狭義銀行)」の容認であり、不公平な競争であると猛反発している。
  • 暗号資産側の主張: ステーブルコインの安全性と透明性を担保するためには、連銀口座へのアクセスが不可欠である。また、金利還元の制限は消費者利益を損なうと主張している。

2. クラリティ法案成立への「最大の障害」に

米議会では、この「クラリティ法案」が暗号資産規制の明確化(Clarity)をもたらす最も重要な法案として位置づけられている。しかし、ステーブルコイン発行体への扱いを巡る銀行と暗号資産のロビー活動の激化が、法案審議の足かせとなっている。

情報筋によると、銀行ロビイストは「ノンバンク発行体への規制が銀行と同等レベル(自己資本比率など)に引き上げられない限り、法案には反対する」との強硬姿勢を崩していない。一方、CoinbaseやCircleなどの業界大手は、過度な規制はイノベーションを海外に流出させると警告している。

3. 今後の見通し

ホワイトハウスは、米ドルのデジタル覇権を維持するためにも早期の法制化を望んでおり、引き続き妥協点を探る方針だ。 しかし、「イノベーション(暗号資産)」と「システミック・リスク(銀行)」のバランスをどう取るかという根本的な問いに対し、ワシントンは明確な答えを出せないまま、膠着状態(スタンドオフ)が続いている。

出典

https://www.cryptoinamerica.com/p/stablecoin-standoff-crypto-and-banks