米国の暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」を巡り、最大の争点だったステーブルコインの利回り提供に関する妥協案が具体化してきた。ジャーナリストのEleanor Terrett氏はXで、最新の法文案について「ステーブルコインのイールドとリワードを巡る妥協内容の新たな詳細」が出てきたと投稿した。CoinDeskなどの報道によれば、最新案はステーブルコイン残高そのものに対するイールドや利息の提供を禁じる一方、一定の「活動ベースの報酬」には余地を残す方向で整理されている。

発端はEleanor Terrett氏の投稿である

Terrett氏の投稿は、関係者向けメールをもとに、最新の立法文言が暗号資産業界関係者に共有され始めたと伝える内容であった。Yahoo!リアルタイム検索上でも、同氏が「stablecoin yield and rewards」を巡る妥協案の新たな詳細と、法文を確認した業界幹部の初期反応について報告していることが確認できる。

最新案の柱は「残高への利払い禁止」である

報道ベースで浮上している最新案の中核は、プラットフォームがステーブルコインの保有残高に対して、預金金利に近い形のイールドや利息を支払うことを認めない点にある。CoinDeskの報道では、改訂文言は「balances」に対するリワードを許さない方向で整理されており、BeInCryptoなども、最新案は残高保有だけで受け取れる利回りを禁じる内容だと伝えている。

一方で「活動ベース報酬」には一定の余地を残す

ただし、すべての報酬スキームが直ちに禁止されるわけではない。Cointelegraphの引用や関連報道では、最新案は銀行預金の利息に類するリターンを禁じつつ、一定の「activity-based rewards」を認める構成だとされる。さらに、許容される報酬の線引きについては、米財務省、SEC、CFTCの3当局が共同で定義する方向が示されている。

背景には銀行業界の「預金流出」懸念がある

この論点が長く膠着してきた理由は、銀行業界が、利回り付きステーブルコインが一般預金の代替になりかねないと強く警戒してきたためである。Politico発の報道を伝えたInvesting.comによれば、上院議員のThom Tillis氏とAngela Alsobrooks氏は、暗号資産業界と銀行業界の対立を踏まえ、イノベーションを守りつつも「widespread deposit flight」を防ぐ必要があるとして、妥協文言の調整を進めてきた。

先週には「agreement in principle」も確認されていた

今回の詳細浮上は、すでに先週確認されていた「合意原則」の延長線上にある。Investing.com経由のPolitico報道では、Tillis氏とAlsobrooks氏がホワイトハウスとともに、ステーブルコイン利回り条項について「agreement in principle」に達したとされる。これにより、1月以来止まっていたCLARITY Actの上院銀行委員会での前進が見込まれるようになった。

業界の受け止めは「前進だが、なお制限的」である

もっとも、暗号資産業界の受け止めは一枚岩ではない。Coingapeなどは、法文を確認した一部の業界関係者が、最新案をなお「restrictive」と見ていると報じている。特に、ステーブルコイン報酬を顧客獲得や収益源の一部にしてきた取引所やDeFiプロトコルにとっては、完全自由化ではなく、相当程度の制約が残る内容と受け取られている。

Coinbaseなどへの影響も焦点である

この論点が注目されるのは、法案の可決可否だけでなく、主要事業者の収益構造に直結するためである。CoinDeskは数日前の別報道で、ステーブルコイン残高への利回り禁止がCoinbaseのような事業者にとって数十億ドル規模のリスクになり得る一方、報酬の抜け道が残れば打撃を和らげる可能性があると分析していた。今回の新文言は、まさにその“完全禁止か、限定容認か”の境界線を定めるものとして見られている。

今後の焦点は「最終文言」と「委員会日程」に移る

現時点で重要なのは、今回出てきた内容がまだ最終成立法ではなく、関係者レビュー段階の最新テキストだという点である。FinTech Weeklyによれば、暗号資産業界代表はすでに上院銀行委員会と面会し、銀行側代表も続いて文言を確認する段取りに入っている。妥協案が最終的に委員会のマークアップへ進めば、数カ月止まっていたCLARITY Actはようやく次の局面に入ることになる。

今回の動きが意味するもの

今回の一連の動きは、米国の暗号資産立法が「賛成か反対か」の段階から、「どこまでなら許すか」という精密な制度設計の段階に移っていることを示している。ステーブルコインの残高利回りは抑えつつ、活動ベース報酬に限って余地を残す方向が固まれば、銀行の懸念を和らげながら、暗号資産業界にも最低限の実務余地を残す妥協になる。もっとも、最終文言や当局解釈次第では実務への影響が大きく変わるため、法案成立までなお予断は許さない。

出典

https://twitter.com/EleanorTerrett/status/2036279124382077137