2026年1月14日、米国の暗号資産(仮想通貨)規制の命運を握る**「CLARITY法案(2025年デジタル資産市場明確化法案)」**の審議が、歴史的な分水嶺を迎えている。当初予定されていた上院での修正審議(マークアップ)は、さらなる超党派の合意形成を優先するため1月末まで延期されたが、法案が正式に成立すれば、投資家は「法的な不透明さ」から解放される最大のメリットを享受することになる。

「証券か商品か」の争いに終止符 管轄の明確化による市場の健全化

本法案の最大の目的は、米国証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の管轄権を法律によって明確に定義することである。これにより、投資家は自身が保有する資産がどのような法的保護を受けるのかを正確に把握できるようになる。

  • デジタル商品としての再定義: 分散化が十分に進んだネットワーク(成熟したネットワーク)上の資産は「デジタル商品」としてCFTCが監督し、SECによる証券法適用外となる道が開かれる。
  • 投資リスクの予見性: SECによる突然の「未登録証券」指摘に伴う価格暴落や上場廃止のリスクが大幅に低下する。
  • 上場基準の標準化: 米国国内の取引所が、法的リスクを過度に負うことなく新たな有望銘柄を上場させやすい環境が整う。

機関投資家の「巨大マネー」流入を促進 信頼のインフラ構築

これまで法的リスクを懸念して参入を見送ってきた銀行や年金基金などの機関投資家が、暗号資産市場へ本格参入するための「法的根拠」が与えられる。

  • 厳格な資産分別管理: ユーザーの資産と取引所の自己資金を完全に切り離して管理することが法律で義務付けられ、プラットフォーム破綻時の資産保護が強化される。
  • カストディ業務の解禁: 伝統的金融機関による暗号資産の保管業務が法的枠組みの下で認められ、安全な投資インフラが構築される。
  • ETF市場の拡大: 明確な規制環境は、ビットコイン以外のアルトコインを対象とした現物ETF(上場投資信託)の承認プロセスを後押しし、さらなる流動性をもたらす。

透明性の確保と「第2のFTX」防止 ガバナンスの義務化

CLARITY法案は、取引所やブローカーに対して、伝統的金融機関並みの厳しい説明責任とガバナンスを課すことで、市場全体の信頼性を底上げする。

今回の法案では、利益相反の開示やサイバーセキュリティ基準の遵守が必須要件となっており、内部関係者による不当な操作から一般投資家を守る仕組みが組み込まれている。また、分散型金融(DeFi)のソフトウェア開発者を過度な登録義務から除外する条項も含まれており、イノベーションの継続と投資家保護の両立が図られている。

今後のスケジュールと残された課題

期待が膨らむ一方で、成立に向けた最終調整には慎重な見方も残っている。

  • 上院での最終調整: ティム・スコット委員長率いる上院銀行委員会でのマークアップは1月27日以降に予定されており、ここで可決されれば本会議での採決へと進む。
  • グローバル規制との整合性: 米国が明確な基準を設けることは、日本や欧州の規制当局との連携を深める契機となるが、国際的な基準(CARFなど)との細かな調整が今後の論点となる。

暗号資産が「デジタルゴールド」や「実用的な資産」として真に認められるための最重要法案として、今月末の動向から目が離せない。

出典

H.R.3633 – Digital Asset Market Clarity Act of 2025

Newsroom – The Facts: The CLARITY Act

Digital Asset Market Clarity Act Resources