Speee子会社のDatachainは5月1日、Swiftシステムと連携したステーブルコイン送金システムに関する特許登録が完了したと発表した。2024年10月に出願を公表していた案件で、今回正式に登録が完了した形だ。Datachainは今後、国内外の金融機関と連携し、この特許に基づく送金スキームの実用化と適用拡大を目指すとしている。

特許の中核は「Swift APIを使って銀行経由でステーブルコイン送金する」仕組み

今回登録された特許は、「ステーブルコインを用いた送金システム」という名称で、既存の国際銀行間通信網であるSwiftのAPIフレームワークを活用し、銀行を経由したステーブルコイン送金を実現するシステム構成と処理方法を保護対象としている。Datachainによれば、この方式により、送金指図者はステーブルコインやブロックチェーンを意識せず、従来どおりの銀行経由の体験のまま、高速かつ低コストな国際送金を利用できるようになるという。

AML/CFTや規制対応を前提にした設計

発表では、このシステムが単に送金を速くするだけでなく、AML/CFT、つまりマネーロンダリング防止やテロ資金供与対策、その他の規制対応といった実務上の要請にも対処することを前提に設計されていると説明している。ブロックチェーン基盤を使いながらも、銀行実務と法規制に適合することを重視した構想だといえる。

特許登録日は4月14日、権利者はProgmatとDatachain

PR TIMES掲載の発表によると、特許登録日は2026年4月14日で、特許番号は第7850327号。発明者は竹澤友輔氏、齊藤達哉氏、久田哲史氏で、特許権者は株式会社Progmatと株式会社Datachainとなっている。特許名は「ステーブルコインを用いた送金システム」である。

背景には巨大なクロスボーダー送金市場

Datachainは、クロスボーダー送金市場が2024年時点で194兆ドル規模に達していると説明している。そのうえで、G20でも送金コスト、着金スピード、アクセス、透明性の4項目で抜本改善が求められていると指摘した。各国でステーブルコイン関連の制度整備が進む中、Swiftと連携したステーブルコイン送金スキームが世界各地で広がる可能性も見込んでいる。

特許取得の狙いはグローバル競争力の確保

Datachainは今回の特許登録について、自社が開発するSwift連携型ステーブルコイン送金システムの中核技術に対する知的財産権を確立し、グローバル市場での競争優位性を強化する意味があると説明した。あわせて、国際出願(PCT)や主要国での特許出願も並行して進めており、知財保護の範囲を海外にも広げる方針を明らかにしている。

国内ではすでに実証環境が動き始めている

発表では、国内では信託型ステーブルコイン、いわゆる第三号電子決済手段の利用を前提にしたクロスボーダー決済や証券決済の実証実験が、金融庁の「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援のもとで進んでいるとも説明している。Datachainは、こうした国内制度と発行・流通の進展に歩調を合わせながら、Swift連携型送金スキームの実装を進めていく考えだ。

Datachainは次世代金融インフラの社会実装を掲げる

Datachainは、2018年創業のブロックチェーン関連企業で、ステーブルコイン、トークン化預金、法人向けWeb3ウォレット、クロスチェーン基盤、プライバシー基盤などを通じて次世代の金融・決済インフラの社会実装を進めていると紹介されている。また、同社はSpeeeの子会社でもある。

今回の発表が意味するもの

今回の特許登録は、国内のステーブルコイン活用が「実証」や「制度整備」の段階から、実運用を見据えた知財確保と銀行実務への接続段階へ進みつつあることを示している。特に、既存のSwift網と銀行経由の体験を維持しながら、裏側でステーブルコインを使う構想は、利用者にブロックチェーンの複雑さを意識させずに国際送金を刷新するアプローチとして注目される。今後の焦点は、信託型ステーブルコインの発行・流通の本格化に合わせて、この特許スキームがどこまで具体的な金融機関導入へ進むかに移りそうだ。

出典

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000315.000014788.html