プライバシー重視のブロックチェーン「Midnight」がメインネットを開始した。発端はMidnight公式Xの投稿で、同プロジェクトは「Midnight Network is live」として本番稼働入りを告知した。公式ブログでも、ジェネシスブロックの生成によってネットワーク立ち上げが完了し、開発者、パートナー、機関投資家がアプリを展開し、資産を移行できる段階に入ったと説明している。

本番稼働で何が変わるのか

Midnightは今回のローンチを、単なるチェーン公開ではなく「次のオンチェーン活動フェーズの起点」と位置付けている。公式ブログによれば、今後はMidnightネイティブのツールやサービスが順次立ち上がり、エンドツーエンドのプログラマブル・プライバシーを実現するアプリケーション基盤を整えていくという。

中核は「公開」と「秘匿」を両立するハイブリッド台帳

Midnightの技術的な特徴は、公開データと非公開データを同じネットワーク上で扱えるハイブリッド台帳アーキテクチャにある。公式説明では、個人情報、金融情報、商業情報のようなセンシティブなデータをネットワーク上へ露出させずに処理・検証できるとし、ゼロ知識証明を使ったクライアントサイド証明、シールド資産と非シールド資産の両立、そして必要な相手にだけ情報を開示する選択的開示機能を柱としている。

取引コストは「NIGHT」と「DUST」の二層構造で設計

経済設計も特徴的である。Midnightでは、ガバナンスとユーティリティを担うトークン「NIGHT」が、取引実行に使うネットワークリソース「DUST」を生成する構造を採用する。公式ブログによれば、DUSTは従来型のガス代のように都度消費されるというより、バッテリーのように時間経過で再充電される仕組みで、NIGHT保有量に応じて生成・回復する。このモデルにより、利用者が日々の取引で価格変動の大きいネイティブトークンを都度管理しなくても済むようにする狙いがある。

初期段階は「フェデレーテッド運営」で安定性を優先

Midnightはローンチ直後から完全分散化するのではなく、段階的な移行を取る。公式ブログでは、初期段階では明示的な参加ルールの下で複数のフェデレーテッド・ノード運営者がネットワークを共同運営し、安定性とセキュリティを優先するとしている。開発者はまずPreprod環境で十分にテストした上で本番へ移行することが前提になっており、ネットワーク中核は保護された私設ネットワーク上で運営される。

Google CloudやMoneyGramなどが初期パートナーに参加

Midnightは、立ち上げ段階から大手企業やインフラ事業者を巻き込んでいる。公式ブログでは、Google CloudやMoneyGramなどのパートナーとともにローンチしたと説明しており、別の発表ではGoogle Cloud、Blockdaemon、AlphaTON、Shielded Technologiesなどがフェデレーテッド・ノード運営者として紹介されている。Google Cloudはノード運営に加え、Mandiantによる脅威監視やインシデント対応、機密計算基盤の提供でも関わるとされる。

将来的には完全分散化とクロスチェーン展開を視野

Midnight Foundationは、現在のフェデレーテッド体制を恒久的なものとは位置付けていない。2月時点の公式発表では、今回のメインネット立ち上げはロードマップ上の「Kūkolu phase」の主要マイルストーンであり、今後は慎重に管理された形で完全分散化へ移行する意向を示していた。3月の本番ローンチ告知でも、その方針は引き継がれている。

今回の発表が意味するもの

今回のメインネット始動は、Midnightが“プライバシー特化の構想”から“実運用ネットワーク”へ移ったことを意味する。特に、公開性と監査性を維持しながら、個人情報や商業データを秘匿できるとする設計は、規制対応が求められる金融、本人確認、企業間取引といった用途を意識したものと読める。一方で、現時点ではまだ初期の段階であり、運営もフェデレーテッド体制で進むため、今後は実際にどれだけアプリケーション、資産、企業ユースケースを呼び込めるかが焦点になりそうだ。

参考

https://twitter.com/MidnightNtwrk/status/2038617317634961904