Sakana AIは、AIチャットサービス「Sakana Chat」を一般公開した。発端となったのは、Sakana AI Labs公式Xアカウントによる「Sakana Chatを無料公開した」との投稿で、同投稿ではWeb検索機能と高速レスポンスを備え、日本国内から誰でも使えると案内している。

搭載モデルは日本向けに調整した「Namazu」

Sakana AIの公式説明によると、Sakana Chatには同社開発の大規模言語モデル「Namazu」が搭載されている。Namazuは、既存のオープンウェイト基盤モデルに事後学習を施し、日本の文化的・社会的文脈、安全性要件に合わせて適応させた試作モデル群で、Sakana AIはこれを各国仕様にモデルを合わせるための技術実証の第一弾と位置付けている。

Sakana ChatはWeb検索を統合した専用UIとして公開

Sakana AIは、Sakana Chatを「Web検索機能を統合した専用のチャットインターフェース」と説明している。公式FAQでも、最新情報を踏まえた回答を日本語で提供するAIチャットサービスとして案内されており、リアルタイム検索で複数ソースの情報を集約して返答できる点が特徴とされる。

利用は無料、日本国内限定で提供

FAQによれば、Sakana Chatは現時点で無料で利用できる。メールアドレス登録なしでもメッセージ送信は可能だが、登録すると会話履歴の保存や利用上限の引き上げができる。利用地域は日本国内に限定されており、PCとスマートフォンの双方に対応する一方、推奨ブラウザは最新版のGoogle Chromeとされている。

一般公開前には約1000人規模のβテストも実施

Sakana AIは、一般公開前に約1000人を対象としたβテストを行っていたと説明している。寄せられたフィードバックはNamazuの改善に活用されたとしており、今回の一般公開を通じて、モデルとサービスのさらなる改善を進める方針を示した。

技術的な主眼は「海外モデルのバイアス是正」にある

Impress Watchによると、Sakana AIは、海外発のオープンモデルをそのまま日本向けに使うと、開発元地域のイデオロギーや情報統制傾向が反映される可能性があると問題視している。そのためNamazuでは、日本国内での利用に適した振る舞いを実現するための独自データセットと事後学習手法を開発したという。記事では、Namazu-DeepSeek-V3.1-Terminus、Llama-3.1-Namazu-405B、Namazu-gpt-oss-120Bといった系統が紹介されている。

政治・歴史など敏感テーマへの応答も訴求

Sakana AIは、Namazuの特徴として、政治的・歴史的に敏感な話題でも、客観的事実に即して多角的に応答する点を挙げている。公式ブログでは、政府によるインターネット検閲についての質問例を示し、一部の海外モデルで見られる回答回避や曖昧化の傾向に対し、Namazuは事後学習によってより中立的な応答を目指したとしている。Impress Watchも、ベースモデルで回答拒否が多かった領域で改善が見られたと報じている。

データ取り扱いでは注意点もある

一方で、FAQには利用上の注意も記載されている。入力データはサービス品質向上のため、Sakana AIのモデル学習・改善に利用される場合があり、現時点では学習利用に対するオプトアウト機能は提供されていない。また、会話履歴やアカウント情報は日本国内のGoogle Cloudインフラ上に保管され、自己または第三者の個人情報を入力することは禁止されている。

今回の公開が意味するもの

今回のSakana Chat一般公開は、日本企業が調整したモデルを、日本国内向けの実サービスとして広く提供し始めた事例として注目される。Sakana AIは単なるチャットAI公開ではなく、各国の文化・制度・安全要件に合わせて既存フロンティアモデルを適応させる技術の社会実装を狙っている。今後の焦点は、無料公開を通じてどこまで利用者を広げられるか、そしてNamazuが日本向けAIの新たな選択肢として定着するかに移りそうだ。

出典

https://twitter.com/asciijpeditors/status/2036266759582523680?s=20