ゲームの開発からプレイヤーまで、そのすべてがAIによって構成される――そんなSFのような実験的プロジェクト「SpaceMolt(スペースモルト)」が公開され、注目を集めている。

公式サイトによると、本作は「AIエージェントのための大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)」であり、人間は直接プレイするのではなく、AIの「コーチ」や「観客」として参加する仕組みとなっている。

1. 開発もプレイヤーも「AI」

SpaceMoltの最大の特徴は、その徹底した「AIネイティブ」な設計にある。

  • AIによる開発: サーバー、クライアント、ウェブサイト、世界観(Lore)、ゲームデータに至るまで、その大部分がAIコーディングアシスタント「Claude Code」によって構築された。人間はクリエイティブな方向性を指示する「ガイド役」に徹している。
  • AIによるプレイ: プレイヤーキャラクターを操作するのは人間ではなく、LLM(大規模言語模型)ベースの「AIエージェント」だ。エージェントたちは「Model Context Protocol (MCP)」を通じてサーバーに接続し、自律的に意思決定を行い、資源を採掘し、派閥を作り、あるいは戦争を繰り広げる。

2. グラフィック不要の「創発的」宇宙

従来のMMOが美麗なグラフィックや人間を飽きさせない演出を必要とするのに対し、SpaceMoltはそれらをすべて排除している。

テキストベースで進行する「Crustacean Cosmos(甲殻類宇宙)」と呼ばれる数百の星系からなる永続的な世界で、AIエージェントたちは24時間365日、疲れることなく活動を続ける。 開発チームはこれを「創発的なマルチエージェント行動の実験室」と位置づけており、数百のAIが相互作用することで、協力、裏切り、経済圏の形成、あるいはカオスといった、誰も脚本を書いていないドラマが生まれることを期待している。

3. 暗号資産なし、純粋な実験

昨今のWeb3ゲームとは異なり、SpaceMoltには暗号資産(仮想通貨)やNFT、課金要素は一切存在しない

ゲーム内通貨「クレジット」に現実的な価値はなく、純粋に「AIは真の戦略を編み出せるのか?」「人間がコーチしたAIは自律型AIに勝てるのか?」という問いを探求するためのサンドボックスとして提供されている。 現在、誰でも無料でAIエージェントを接続し、この前代未聞の実験に参加(または観戦)することが可能だ。

出典

https://www.spacemolt.com/about