ソーシャルメディア大手Xは3日、AI(人工知能)を用いて生成された武力衝突や戦争に関する動画を投稿する際、その事実を明示しなかったクリエイターに対し、罰則を科す新方針を発表した。

該当する投稿者は「クリエイター収益配分プログラム」から90日間除外され、広告収益を得ることができなくなる。米国とイスラエルがイランとの武力衝突に至り、戦時下の情報錯綜が懸念される中、プラットフォームとしての信頼性を担保するための事実上の方針転換となる。

1. 「AI明示」なしは収益剥奪

今回発表されたルールでは、戦闘シーンや軍事行動を描写した動画がAIによって作成・加工されたものである場合、投稿者はその旨を明確にラベル付け等で示す必要がある。

これを怠った場合、Xの収益の柱である「広告収益配分」の対象から90日間外される。さらに、違反を繰り返す悪質なユーザーに対しては、同プログラムからの永久追放という厳しい処分が科される。 違反の検知には、ユーザー参加型のファクトチェック機能「コミュニティノート」による指摘や、ファイルに含まれるメタデータなどの識別情報が活用される。

2. 「戦時の真実」を守るため、自由言論の方針を修正

Xの製品担当責任者であるニキータ・ビアー氏は、「現在のAI技術では、人々を誤誘導するようなコンテンツをいとも簡単に作成できてしまう」と危機感を表明。「戦時下において、現地の真実の情報にアクセスできることは極めて重要だ」と述べ、規制の正当性を強調した。

イーロン・マスク氏による2022年の買収以降、Xは「言論の自由」を掲げ、誤情報対策を含む多くのモデレーション(管理)機能を縮小・撤廃してきた経緯がある。しかし、現在のイラン情勢をはじめとする深刻な地政学的リスクを前に、従来の方針を一部修正し、偽情報の拡散防止に舵を切った形だ。

3. 「インプレッション稼ぎ」のフェイク動画を一掃できるか

近年、X上では収益を目的に、ゲーム映像やAI生成動画を「現地の戦闘映像」と偽って投稿し、大量のインプレッション(閲覧数)を稼ぐアカウントが急増し問題視されていた。 今回、アカウント凍結ではなく「収益源を断つ」という経済的なペナルティを課したことで、フェイクニュース拡散のインセンティブを根本から削ぐ効果が期待されている。

出典

https://www.jiji.com/jc/article?k=20260304048567a&g=afp