米上院で審議が続く暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」を巡り、共和党のトム・ティリス上院議員が、今週中にステーブルコイン利回り問題の新たな妥協案を公表する見通しであることが分かった。Politico Proが報じた内容として、Unchainedは、ティリス議員が復活祭休会明けの今週に改訂法文を出す考えだと伝えている。

焦点は「ステーブルコイン残高への利回り」をどう扱うかである

この対立の中心にあるのは、暗号資産企業がステーブルコイン保有者に報酬や利回りを提供できるかどうかという論点である。Reutersは1月時点で、ホワイトハウスが銀行業界と暗号資産業界を集めた協議を主導し、争点が「stablecoinの保有に対するinterestやrewards」に集中していると報じていた。銀行側は、こうした報酬が認められれば預金流出を招き、金融安定を損なうと主張してきた。

3月時点では「合意原則」ができていた

この件は突然浮上したものではない。アンジェラ・オルソブルックス上院議員の公式サイトに転載されたPoliticoの記事によれば、ティリス議員、オルソブルックス議員、ホワイトハウス当局者は3月末までに「agreement in principle」に達していた。オルソブルックス議員は、その合意が「innovationを守りつつ、widespread deposit flightを防ぐ」ものになると説明している。

妥協案の骨子は「受動的利回りの禁止」と「活動ベース報酬の許容」にある

UnchainedがPolitico報道をもとに伝えたところでは、今回の改訂案は、ステーブルコインをただ保有しているだけで得られる「受動的な利回り」は禁止する一方、決済、送金、サービス利用と結び付いた「活動ベースの報酬」は認める方向で整理されている。許容される報酬の定義や抜け道防止の詳細は、法成立後12カ月以内にSEC、CFTC、財務省が共同で定める見通しだという。

ただし、暗号資産業界も銀行業界もまだ満足していない

現段階で妥協案が全面的に受け入れられているわけではない。Unchainedは、Coinbaseが以前の草案を確認したうえで、残高や取引額に紐づく制限を問題視し、現行の整理を支持できないと上院スタッフへ伝えていたと報じている。一方で、銀行側もなお一層厳しい制限を求める見通しで、双方が「不満は残るが前に進めるための文言」を探っている状態にある。

ホワイトハウスも制度面の裏付けを進めている

この議論を後押しする材料として、ホワイトハウスは4月8日付で「Effects of Stablecoin Yield Prohibition on Bank Lending」という研究文書を公開した。同文書は、2025年成立のGENIUS Actがステーブルコイン発行体による利回り提供を禁じた一方、提携先や第三者による報酬提供の余地が残っていること、そしてCLARITY Actの一部案はその抜け道を閉じる内容になっていると説明している。つまり、今回の法案調整は政治的妥協だけでなく、銀行預金や貸出への影響分析とも連動して進んでいる。

次の焦点は4月後半の上院銀行委員会マークアップである

Unchainedによれば、今回の改訂案公表は、CLARITY Actを4月後半の上院銀行委員会マークアップへ進めるための重要な前提になっている。すでに3月末時点でも、法案は復活祭休会明けから再び動き出すとの見方が出ていたが、利回り条項の最終文言が固まらなければ前進は難しい状況だった。今週の草案公表は、そのボトルネックを外す試みといえる。

今回の動きが意味するもの

今回の動きは、米国の暗号資産立法が「推進か阻止か」の段階から、「どこまで許容するか」という制度設計の最終局面に入っていることを示している。残高に対する受動的利回りは抑えつつ、活動ベースの報酬には余地を残す構図が固まれば、銀行の懸念と暗号資産業界の実需の双方をある程度織り込んだ妥協になる可能性がある。ただし、現時点では正式な法文全文は公開されておらず、最終案がそのまま委員会審議へ進むかはなお流動的である。

出典

https://subscriber.politicopro.com/article/2026/04/tillis-hopes-to-release-plan-to-end-wall-street-crypto-clash-this-week-00870284